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意識とみなされている。
急増する健康な高齢人口が経済的活動に参加することは、今後の高齢化の進行に伴う社会経済にとって極めて重要かつ不可欠と考えられているが、現在の不就業者の状況をみると、社会に高齢者に適した就業の場が少ないことが問題となっている。しかし、今後わが国においては、福祉産業の発展をはじめ人間関係やインフォームド・コンセントが求められる人間性ある仕事が随所に拡大してゆくことは明らかで、したがって、今後は人生経験のある中高年層が多様な社会分野で様々な業務形態で就労してゆくものと考えられる。

 

(5)高齢者の活動(生活行動)
高齢者の活動、生活行動について、「社会生活基本調査」(総務庁:5年毎調査)でみると、65歳以上の高齢者の一日の生活時間は、「睡眠」、「食事」などの生理的時間(1次活動時間)と、仕事、家事、社会生活上の義務労働などの2次活動時間の中の「家事」時間、そして自分で自由に使える「余暇時間などの3次活動時間」が多い。また、高齢者の年齢階層が上がるにつれて、睡眠時間と在宅型余暇(テレビ・ラジオ・新聞・雑誌、休養・くつろぎ)時間が増加し、仕事や家事と積極的余暇(学習・研究、趣味・娯楽、社会的活動、スポーツ、交際・付き合い)時間は減少している。
こうしたわが国の高齢者の生活行動を「高齢者の生活と意識に関する国際比較」(総務庁:5年毎、60歳以上高齢者、各国1,000名調査)でみると、欧米の高齢者は、「仕事を引退した後」が「老後の生活」と考える者が4割もあるが、日本の高齢者はそれが1割5分で、「健康が衰えた後の生活」と考える者が4割近く、日本の高齢者は就労等で社会との関わり意識が強いとみられている。しかし、その行動についてみると、「高齢者の地域社会への参加に関する調査」(1993年総務庁)では、「参加したものはない」者が57.7%となっており、地域社会活動に関心はあるものの、実際の活動参加となると、参加行動率が低い状況になっている。意識としては前向きだが行動が伴っていないのが実状である(図2−3−4、図2−3−5)。

 

図2−3−4 高齢者の社会参加活動への参加意向

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資料:1993年「高齢者の地域社会への参加に関する調査」(総務庁)
注:調査対象は、全国60歳以上の男女。

 

 

 

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